HelmとKubernetes環境とWebRTC音声ボットへの挑戦

ジムへ向かう車中での雑談第 8 回目。

「Helm ってどんな時に使うの?」というインフラ系の話題から始まり、Rust で WebRTC ボットを作ろうというテック満載の内容となりました。
竹内さん(@rikson_en)が、ここ最近ずっと取り組んでいる Rust プロジェクトの進捗や課題も紹介していきます。

Helmを使うシーンは?

まずは Helm。Helm は Kubernetes 上でのパッケージマネージャ的存在で、複数の Kubernetes マニフェスト(Deployment、Service、Ingress など)を「一まとめ」にして扱えるツールです。

なぜHelm?

  • 一元管理: Helm を使えば、関連する Kubernetes リソースをチャートという単位で管理できます。
    インストールやアンインストールが一括で行えるため、ゴミリソースが残らず、環境がクリーンに保てることができます。

  • ローカルでの試験運用: ECS(Amazon Elastic Container Service)などではローカル再現が難しい一方、Kubernetes は「kind」や「minikube」といったツールでローカル再現が可能。 これに Helm を合わせれば、ローリングアップデートや無停止デプロイ手順をローカルで試すのも容易です。 つまり、実プロジェクトで ECS を使っていても、ローカルで Kubernetes+Helm を用いてテスト環境を構築し、挙動を確かめるといった使い方があるわけです。

RustでWebRTCボットを作る?

話は一転して、竹内さんが取り組んでいる Rust プロジェクトへ。
彼は、WebRTC を使って「ズンダモン」というキャラクターとリアルタイムな音声対話を可能にしようとしているんです。

なぜRust?

  • Rust は高性能かつメモリ安全性が高い言語で、C/C++のライブラリとも相性が良い。
  • Whisper.cpp(OpenAI の Whisper をローカルで動かすための C++ライブラリ)や Voicevox(日本語音声合成)といったネイティブライブラリとの統合がしやすい。

システムの構成(予定):

  1. 音声入力(WebRTC):
    ブラウザからマイク音声を WebRTC 経由で Rust サーバへ送信。
  2. Speech-to-Text(Whisper.cpp):
    受け取った音声を Whisper.cpp を Rust から呼び出してテキスト化。
  3. ChatGPT に問い合わせ:
    テキストを ChatGPT に渡し、ズンダモンのキャラクター口調で回答を生成。
  4. Text-to-Speech(Voicevox):
    ChatGPT から得たテキストを Voicevox で音声合成し、ズンダモンが話す音声を作成。
  5. WebRTC で音声返却:
    GStreamer を通して生成した音声を WebRTC でブラウザに送信。

上記の手順で、ユーザーはブラウザ上で「ズンダモン」と自然な音声対話を楽しめるようになります。

開発中の課題

  • ライフタイムと借用の概念(Rust 特有の壁):
    Rust では所有権や借用、ライフタイムといったメモリ管理の仕組みが厳格。並行処理やスレッドセーフ性を保つためにコンパイラから怒られることもしばしば。竹内さんもここで苦戦している様子でした。

  • サンプルの少なさ:
    Whisper.cpp+Voicevox+GStreamer+Rust といった組み合わせは珍しく、既存のサンプルが少ないため、手探りでコードを書く必要がある。

  • WebRTC 周りのシグナリング:
    当初 Janus を使おうとしていたが、Rust での実装が思うようにいかず、GStreamer 側のシグナリングサーバーを活用する方針へシフト。

HelmとRust、異なる世界のテック融合

今回の雑談は、Helm による Kubernetes 環境管理から、Rust による音声対話ボットの開発という、異なるテクノロジー領域の話を行き来しました。

  • Helm はインフラ側の運用・管理の話で、安定した環境構築・破棄・再構築がやりやすい。
  • Rust プロジェクトは、音声認識・合成・WebRTC といった応用的な分野への挑戦。 どちらも「安全・効率的な実装」という共通点があり、最終的にユーザーエクスペリエンスを向上させるための手段と考えれば、方向性は同じです。

まとめ

Helm は Kubernetes 環境でこそ力を発揮し、ローカル検証やクリーンなリソース管理を可能にします 一方、Rust での WebRTC ボット構築は、メモリ安全性・パフォーマンスを活かした統合が魅力的。 まだ道半ばですが、竹内さんの取り組みは、オープンソース技術を組み合わせた新たな音声対話インターフェースを目指しています。

次回は、Rust プロジェクトがさらに進展するかもしれませんし、Helm を使った新しいインフラ管理手法が飛び出すかもしれません。引き続き、テックと筋トレの両輪で突き進んでいきますので、お楽しみに!

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